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1. WO2014122846 - 小型車両

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明 細 書

発明の名称 小型車両

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

非特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010   0011   0012   0013   0014  

課題を解決するための手段

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029  

発明の効果

0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049  

図面の簡単な説明

0050  

発明を実施するための形態

0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085  

符号の説明

0086  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23  

明 細 書

発明の名称 : 小型車両

技術分野

[0001]
この発明は、車両の横方向に単一の運転者用の座席を有する1~2人乗りで市街地走行に適するような小型車両に関し、特に限られた容積空間の中で空間効率を高め、乗員の乗降性を確保するとともに、衝突時、転倒時に乗員を保護する車両構造に関するものである。

背景技術

[0002]
本発明の対象とする小型車両は、非特許文献1に「超小型車両」として「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」と定義される車両である。 このような小型車両は、一般的には、乗員が乗車するための座席を横方向に1つのみ備え、横に並列して2つ以上の座席を有する一般の自動車に比較してコンパクトで車幅が狭いことから、道路、交通、駐車空間への負荷が軽く、車体重量が一般の自動車に比較して軽いことから、CO2削減などの環境負荷を軽減させることができるなどの利点を有し、今後需要が期待される車両である。
[0003]
このような小型車両は例えば特許文献1に記載されたもののように、車両の横方向に単一の運転者用の座席を有し、その座席の前方、後方、上方、下方を取り囲むフレームを有し、座席の側方に乗員が乗降するために開放された開口を有し、狭い駐車スペースにおける乗員の乗降性の確保及び、軽量化のため、開口を閉鎖するドアは省略されている。
また、運転者用座席の後方に位置する同乗者用の座席への乗降を可能にするために、運転者用の座席が車両の上方のフレームに設けられた支点を中心として車室内で回動するようにして、車両のステアリングハンドルとの干渉を避けて運転者用座席が移動可能な構造が採用されている。
[0004]
また、特許文献2に記載される構造では、座席の側方の開口に棒状のサイドバーを備え、サイドバーを車両の上方に跳ね上げる構造が採用され、乗員の保護と共に狭い駐車スペースでの乗降性を確保している。
[0005]
また、特許文献3には、車両のスペース効率を高めること、運転者及び後部の乗員の乗り降りをより容易にすること、乗員の保護をより一層良好にすることを目的として、様々な形態の車両が提案され、第6実施例、第7実施例の中で、車両を前後方向に伸縮可能にすることが提案されている。
[0006]
さらに特許文献4には、車体中央部に位置する車体フレームの略四辺形部分に形成された空間に動力用のバッテリーを収容させることで、バッテリーの保護、スペース効率、マスの集中化を図った小型電動車両が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : FR2950004A1
特許文献2 : WO2012059396A1
特許文献3 : 特許4546045
特許文献4 : 特開平09-286348

非特許文献

[0008]
非特許文献1 : 国土交通省都市局・自動車局、「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」、2012年6月、[2013年2月5日検索]、インターネット〈URL:http://www.mlit.go.jp/common/000212867.pdf〉

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
このような小型車両においては、小さな駐車空間における車両への乗員の乗降性の確保とともに、安全性の向上を図ることは重要な開発課題の一つである。
小型車両は車両のトレッドが狭いため、横方向の安定性が通常の自動車に比較して低く、車両が横転するリスクが高い。しかし、従来の横方向に2以上の座席を有する自動車等の車両構造を単に超小型車両に置き換えただけでは、横転に対する安全性は従来と同程度に確保できるものの、安全性を従来より高くはできない。しかも「軽量、コンパクトで製造コストが安い」という小型車両のメリットを生かすことができない。すなわち、通常の自動車で広く採用されている車体全体で剛性強度を確保するモノコックフレーム構造をそのまま適応した場合には、車体全体の重量が増加し、車両の走行性能が低下させることとなり、とりわけ超小型車両のメリットの燃費性能を犠牲にすること並びに車両の製造コストも増加することとなる。
[0010]
特許文献1、2は、従来の一般的な車両、特に乗用自動車に採用されているモノコックボディーをそのまま小型車両に適応した典型的な例である。
一般的なモノコック構造の車体は、車体本体に対して車輪、車軸、懸架装置、エンジン、変速機等の動力装置の区画室を支える車台と、乗員区画室が一体で形成されるため、乗員区画室に形成されたドア、窓のための開口に対してわずかでも歪が生じないように、全体としてねじり剛性、曲げ剛性の高い構造設計が求められる。このため、車両が衝突により車体が変形するような衝撃を受けた場合、ドア枠などの開口部をはじめ車体全体が変形することになり、車両の修理にあたっては、車体下部構造に対して車両の安定的な走行に必要な修正修理以外にも、ドア枠などの車体の上部構造の修正を充分に行う必要があり、また、上部構造の修正が下部構造に影響してしまい、車両のアライメントがくずれることもあり、車両の修理には高い技術と熟練を要する。
また、モノコックボディは乗員コンパートメントへの乗降性を確保するために、モノコック(文字通りで言えば、唯一の殻)とは言え、ドアや窓のための多くの開口を必要としている。これらの開口部は車両全体としての剛性、強度を確保するために開口部毎にピラー、サブフレームの補強が必要となり、車体重量の増加を招く。 一般的には、開口部の面積が広い程、また内部の空間容積が大きい程、より強固な補強をしなければならない。
[0011]
特許文献1は、この車体重量の増加を抑えるために車両の座席の側方のドアを廃止したもので、座席の側方が大きく開放されているため、乗員の乗降性は確保されるものの、車両の側方からの衝突、車両の横転に対しては何ら解決策を示すものではない。
また、特許文献2では、開口部分にドアに比較して軽量なサイドバーを設け、これにより一応乗員が保護される構造ではあるが、サイドバーだけでは乗員が風雨に晒されることを完全には防ぐことはできず、乗員が仮に安全義務を怠って、シートベルトを着用せず横転した場合には、乗員の身体の一部、例えば手や脚が反射的に車両外に出されることを防ぐことはできない。
[0012]
特許文献3の第1実施例から第5実施例は、特許文献1、2と同様に車両の側方が開放された構造であり、側方からの衝突や横転時の乗員の保護について何ら解決策を示すものではない。
また、第6実施例、第7実施例のルーフ付き伸縮可能車両は、駐車時のスペースをコンパクトにするため車体が伸縮する構造が採用され、乗員の乗降はフレームを乗り越えたり、屋根を大きく開口した状態で車両の前方から乗降したりするため乗員の乗降性については改良の余地がある。また、前の実施例と同様に側方からの衝突や横転時の乗員の保護について何ら解決策を示すものではない。
[0013]
また、車両の駆動源としてモータを利用する超小型電気自動車の場合、モータの回転数を上げるために、60V以上の高電圧バッテリー電源を利用する傾向にあり、乗員の安全性とともに衝突、転倒を想定した、高電圧電源の安全性を確保することも重要な技術課題である。
特許文献4が開示するバッテリーの搭載構造は、車両の床下の車体の内側に集中して、車体に囲まれるようにバッテリーを配置して車体の強度によりバッテリーを保護するが、強度を確保するために車体重量が増加することとなり、また、バッテリーが床の下に配置されるため、乗員区画室の床が高くなり、運転性、乗降性を損なうこととなる。
また、特許文献4は、車体の左右の中心にバッテリー置くことによりマスを集中させる構造であるが、トレッドの狭い小型車両においては、マスを車両の中央に集中させると、マスを分散させるものに比較して車両の横方向からの力に対しての慣性力が小さくなり、転倒抵抗性が低くなることとなる。
トレッドの狭い小型車両においては、バッテリーの転倒時の保護と共に、車両の左右方向のバッテリーの配置(マスの管理)は、操縦性と転倒抵抗性とのバランスの上で考慮しなければならない課題の一つである。
[0014]
そこで、本発明の目的は、横方向に単一の乗員用座席を有する車両において、小型車両の限られた容積空間の中で空間効率を高め、乗員の乗降性を確保するとともに、衝突時、転倒時に乗員を保護する車両構造を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0015]
前記課題を解決するため本願発明の小型車両は、
前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体と前部保護構造体から形成され、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記前部保護構造体が
 前記座席部保護構造体に結合して前記座席部保護構造体の前記開口部を閉鎖可能とし、
前記座席部保護構造体とは独立して前記車台フレーム上に支持されることを特徴とする小型車両が提案される。
なお、本発明における方向の概念は、走行状態における車両に搭乗した運転者から見た方向を基準とする。従って、請求項1に記載の座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部についての「座席の前方」とは、座席部保護構造体の旋回前(旋回原位置)の状態における車両の進行方向前方のことであり、旋回した時の車両の前方ではない。 
[0016]
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、
 前記座席部保護構造体の開口部が車両進行方向に向かって正面を向いた位置を旋回原位置とし、
 前記座席部保護構造体の開口部が車両進行方向に向かって左右いずれかの方向に向いた位置を旋回位置とし、
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体とが相互に結合された位置を結合位置とし、
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体とが相互に離間された位置を離間位置とし、
 前記座席部保護構造体を旋回原位置と旋回位置との間で旋回可能なように、前記前部保護構造体が前記座席部保護構造体の旋回範囲外となるように、前記前部保護構造体または前記座席部保護構造体を前記結合位置と前記離間位置との間で移動することを特徴とする小型車両が提案される。
[0017]
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、
 前記前部保護構造体または前記座席部保護構造体が前記結合位置と前記離間位置との間で移動することを許容する構造体移動空間部分を前記前輪の側方または前記後輪の側方の前記車台フレームの上方に設け、
 前記構造体移動空間部分が、車両の正面衝突時または、後方追突時に前記車台フレームが変形して衝突時の衝撃エネルギーを吸収し得るクラッシャブルゾーンと共有していることを特徴とする小型車両が提案される。
[0018]
また請求項4に記載された発明によれば、請求項2または3の構成に加えて、
 前記前部保護構造体または前記座席部保護構造体が前記結合位置と前記離間位置との間で移動することを許容する構造体移動空間部分を前記前輪または前記後輪の側方の前記車台フレームの上方に設け、
 前記駆動装置に電力を供給するバッテリーを収納するバッテリー保護ケースが、前記前輪の後方と前記乗員保護構造体との間、または、前記後輪の前方と前記乗員保護構造体との間にバッテリー支持部材を介して前記車台フレームに支持され、
 前記バッテリー支持部材の衝撃強度が前記バッテリー保護ケースの衝撃強度より低く設定され、
 車両の側面からの衝突時に前記バッテリー保護ケースが前記バッテリー支持部材の変形破断により、前記構造体移動空間部分に移動可能としたことを特徴とする小型車両が提案される。
[0019]
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2~4の構成に加えて、
 前記前部保護構造体が支持部材を介して前記座席部保護構造体とは独立して前記車台フレーム上に支持され
 前記前部保護構造体の支持部材の中間部に屈曲部が形成され、
 前記前部保護構造体の支持部材の衝撃強度が前記乗員保護構造体の衝撃強度より低く設定されていることを特徴とする小型車両が提案される。
[0020]
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1~5のいずれかの構成に加えて、
 前記座席部保護構造体が、上下方向の中間部に、前記座席の後方から左右両側方を囲み前方に開放した略円弧状の後水平サブフレームを備え、
 前記前部保護構造体が、上下方向の中間部に、後方に開放した略円弧状の前水平サブフレームを備え、
 前記後水平サブフレームと前記前水平サブフレームにより円環状の水平サブフレーム体を形成することを特徴とする小型車両が提案される。
[0021]
また請求項7に記載された発明によれば、請求項1~6のいずれかの構成に加えて、
前記座席部保護構造体の開口部が円環状の縦サブフレームにより補強されることを特徴とする小型車両が提案される。
[0022]
また請求項8に記載された発明によれば、請求項1~7のいずれかの構成に加えて、
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体の開口部との結合及び結合解除が可能な結合ロック手段と、
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体の開口部との結合部の位置を規制する位置決め手段とを有することを特徴とする小型車両が提案される。
[0023]
また請求項9に記載された発明によれば、
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が、ステアリングハンドルを備え、
前記ステアリングハンドルは、下端部が、前記座席の下方で前記座席部保護構造体の左右方向中央に取り付けられたステアリングポストの略垂直方向の軸を中心に回動可能に支持され、
 前記ステアリングポストから左右両側方方向に指向した後、前記座席の外側方と前記座席部保護構造体の左右の内壁との間を内壁に沿って上方に延長されて配置されると共に、
上端部にハンドルグリップが設けられていることを特徴とする小型車両が提案される。
[0024]
また請求項10に記載された発明によれば、
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が、前記座席の後方に後部座席を備え、
 前記後部座席は、平面視で車両の中心に対して左右一側にオフセットして配置され、
 前記後部座席の正面が他側前方斜め方向に指向することを特徴とする小型車両が提案される。
[0025]
また請求項11に記載された発明によれば、請求項10の構成に加えて、
 前記後部座席の前方に位置する前記座席が前記座席部保護構造体の開口部の方向に移動可能に支持されることを特徴とする小型車両が提案される。
[0026]
また請求項12に記載された発明によれば、
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記乗員保護構造体の下方外側に、中心から半径方向外側上がりに傾斜する傾斜面が形成され、
 前記駆動装置に電力を供給するバッテリーを収納するバッテリー保護ケースが、前記前輪の内側後方と前記乗員保護構造体との間、または、前記後輪の内側前方と前記乗員保護構造体との間に位置し、前記バッテリー保護ケースの衝撃強度より低く設定された衝撃強度を有するバッテリー支持部材を介して車両の前後方向中心線に対して左右対称に前記車台フレームに支持され、
 前記バッテリー保護ケースの前記車両の中心側の面に、前記乗員保護構造体の下方外側部分の傾斜面に対応する傾斜面を形成され、
 車両の衝突時に前記バッテリー保護ケースが前記バッテリー支持部材の変形破断により、前記乗員保護構造体の下方外側の傾斜面に沿って移動可能としたことを特徴とする小型車両が提案される。
[0027]
また請求項13に記載された発明によれば、
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記駆動装置に電力を供給するバッテリーを収納するバッテリー保護ケースが、
 前記前輪の内側後方と前記乗員保護構造体との間、または、前記後輪の内側前方と前記乗員保護構造体との間に左右対称に複数分散して前記車台フレームに支持され、
 平面視で前記乗員保護構造体と前記バッテリー保護ケースの少なくとも一部、または、
 側面視で前記前輪または前記後輪の外輪郭と前記バッテリー保護ケースの少なくとも一部、または、
 側面視で前記乗員保護構造体と前記バッテリー保護ケースの少なくとも一部がオーバーラップして配置されることを特徴とする小型車両が提案される。
[0028]
また請求項14に記載された発明によれば、
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が衝突、転倒時に展開する頭部保護エアバッグを備え、
 前記頭部保護エアバッグは、前記車両の幅方向に単一の運転者用の座席に着座した乗員の頭部の上方及び側方に位置する前記座席部保護構造体の内側に固定され、
 未展開時は、前記座席部保護構造体の内側に近接した状態で座席部保護構造体の内壁に沿って折り畳まれてエアバッグ収納体に収納され、
 展開時は、エアバッグの上端部及び左右両側の側方端部が前記座席部保護構造体の内側に固定された状態を維持したまま乗員の頭部の前方及び側方を覆うように半扁平ドーム状に展開することを特徴とする小型車両が提案される。
[0029]
また請求項15に記載された発明によれば、
前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が、衝突、転倒時に展開するサイドエアバッグを備え、
 前記サイドエアバッグは、前記座席の側方に位置し、未展開時は、外側に膨出するように円弧状に形成された前記座席部保護構造体の外殻の内側に近接した状態で、該外殻の内側と内装カバーとの間に折り畳まれて収納され、
 展開時は、前記座席部保護構造体の外殻の内側から該外殻の内側に近接した状態で前記乗員区画室の中心方向に向かって膨張することを特徴とする小型車両が提案される。

発明の効果

[0030]
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
請求項1に記載の構成により、乗員の乗降性を確保するとともに、座席部保護構造体は側面衝突時、転倒時の乗員を確実に保護することができる。
座席部保護構造体は座席の前方に乗員が乗降可能な開口部があり、この開口部が座席と共に側方の乗降位置まで旋回するため、狭い駐車スペースでも、側方にドアのための解放空間を確保する必要がなく、容易に乗降することができる。
[0031]
また、座席部保護構造体は車両が走行状態の時に、座席の側方に乗員の乗降のための開口がないため、乗員を安全に保護するために必要な強度を軽量で単純なフレーム構成で達成することができ、特に車両の衝撃緩衝空間部分(クラッシャブルゾーン)を確保することが難しい側方からの衝突時、横転時に乗員を保護することができる。
[0032]
一般的なモノコックボディの場合は、エンジンなどの駆動装置の区画室と乗員区画室は隣り合わせで存在し、構造的にバルクヘッドと呼ばれる構造的に一体の壁を共有しているが、本発明の場合には、乗員区画室は他の区画室とは独立して壁は共有されていない。そのため、動力区画室の変形や振動が、乗員区画室に直接影響を与えることはない。
[0033]
また、車台フレームと乗員区画室が独立しているため、衝突時の衝撃により車台が衝突のエネルギーを吸収して変形したとしても、乗員区画室が変形することはなく、乗員区画室の中の乗員が損傷を受けることはない。また、衝突時の衝撃が車体の吸収できるエネルギーを超えるほど大きく、直接的な衝撃が乗員区画室に及ぶ場合には、乗員区画室が車台フレームから離脱させて乗員を保護することも可能である。 
さらに、衝撃を受けた車両の修理は、車台と乗員区画室それぞれに必要に応じて行えばよく、軽度な衝撃の場合には車台フレームの修正と、車体と乗員保護構造体との支持部の修理だけで、乗員区画室を構成する乗員保護構造体の修理を行う必要はない。
[0034]
また、車台フレームと乗員保護構造体が構造的に独立しているため、車台の製造と乗員保護構造体の製造を別々に行うことができ、車台フレームの複数のバリエーションに対して、乗員保護構造体の複数のバリエーションを組み合わせることにより、消費者の要求に合わせた異なる形態の車両を簡単に提供することができる。
ここで、異なる車台フレームのバリエーションとは、動力装置、駆動方式、懸架方式などの組み合わせであり、乗員保護構造体の複数のバリエーションとは、乗員数によるキャビンの容積等である。
[0035]
また、座席部保護構造体の前方開口部が、前部保護構造体により乗員の乗降時以外は閉鎖されていることにより衝突の時に乗員の前方への飛び出しを防止するとともに、乗員区画室内を生存空間として確保することができ、さらに風雨から乗員を保護することができる。
[0036]
また請求項2の構成によれば、座席部保護構造体を旋回させる時に、前部保護構造体と干渉せずスムーズに旋回することができ、旋回位置で乗降のための大きな開口部を車両の側方に位置させ、駐車時に側方にスペースがない状態でも楽に乗降することができる。
また、結合位置では、座席の側方が座席部保護構造体で閉鎖され、側方からの衝突、横転時に乗員を保護することができる。
[0037]
また請求項3の構成によれば、構造体移動空間部分が、衝突時の衝撃エネルギーを吸収し得るクラッシャブルゾーンと共有しているため、スペースを有効に活用できる。
さらに、構造体移動空間部分には、移動する構造体に追随して移動するラゲージボックスを設けることもでき、クラッシャブルゾーンと共有された構造体移動空間部分を荷物の収納空間としても利用できる。
[0038]
また、請求項4の構成によれば、構造体移動空間部分が側面からの衝突時にバッテリー保護ケースが移動する空間と共有することによりスペースを有効に活用することができると共に、車体の強度でバッテリーを保護する従来の構造に比較して車体の重量を増加させることなくバッテリーの損傷を防ぐことができる。
また、側面からの衝突時に重量物であるバッテリーが移動する慣性エネルギー及び、支持ブラケットの変形エネルギーにより、衝突時のエネルギーを効果的に吸収することができる。さらに、バッテリー支持部材の強度がバッテリー保護ケースの強度より低く設定されるため衝突の際にバッテリー保護ケースが衝撃エネルギーを吸収しつつ、他の強固な構造物がない構造体移動空間部分に移動するため、バッテリー保護ケースが他の構造物との間で挟まれて押し潰されることがなく、バッテリーを損傷から防ぐことができる。
[0039]
また、請求項5の構成によれば、前部保護構造体は車両の衝突時に車台フレームが衝突のエネルギーを吸収するために変形しても、前部保護構造体の支持部材に形成された屈曲部が座屈変形し、乗員保護構造体に伝達される衝撃が緩和され、乗員区画室が保護される。
 また、前部保護構造体は支持部材を介して移動可能に車台フレームに支持され、前部保護構造体が前方に移動した時に、屈曲部により支持部材と前部保護構造体とが干渉が防止される。
[0040]
また、請求項6の構成によれば、乗員保護構造体が円環状の水平サブフレーム体により補強され、衝突時、及び転倒時の乗員の保護を確実にすることができる。 特に横転時には、水平サブフレームが地面に接触することにより、地面と接触する部分が水平サブフレーム体により保護され、地面から受ける応力を分散することにより、転倒時の乗員保護構造体の破壊を防ぐことができる。
また、前後のサブフレームが連続しているため、座席部保護構造体と前部保護構造体との間で効果的に応力を前後で分散することができ、水平フレーム体の上部に乗員の視界を確保するための透明なウインドスクリーンを設ける場合でも、スクリーンを確実に支持することができる。
[0041]
また請求項7の構成によれば、円環状の縦サブフレームにより開口部の強度を確保することができる。また、サブフレームを金属等の材料とすることで結合部の寸法が安定し車体製造時の寸法管理を容易にすることができる。
[0042]
また請求項8の構成によれば、結合ロック手段により座席部保護構造体と前部保護構造体の結合を確実にし、位置決め手段により結合部がずれることが防止され、結合された状態では座席部保護構造体と前部保護構造体の間で応力を分担することにより、乗員保護構造体全体として乗員を保護するための強度を確保することができる。
[0043]
また請求項9の構成によれば、座席の前方の開口部の中央にステアリングハンドルがないため乗員の乗降が容易になるとともに、フレームの旋回時にハンドルが旋回の障害物とならないためフレームの前後方向移動量を少なくすることができる。また、座席を乗員の乗降のために移動する場合でも、ステアリングハンドルが座席の前後移動の妨げとならないため、座席の移動量を大きく確保することができる。
また、乗降に際にハンドルグリップ部を乗降補助グリップとして共有することもできる。
また、ステアリングハンドルの回転軸が座席の下方に支持されるため、乗員は腕を曲げた楽な状態で操作することができ、ハンドル操作が容易となる。
[0044]
また請求項10の構成によれば、同乗者用の後部座席が斜めに設けられているため、乗員区画室の前後方向の長さを短くできると共に、同乗者の肩の側方のスペースを確保し、目線の前方に突出物のない空間を確保することにより、狭いスペースでも圧迫感の少ない後部座席空間を作ることができる。
また、同乗者の膝周りの空間にも余裕があり、楽な姿勢で着座できる。
また、幼児用座席を同乗者用座席の前方に着脱可能に設けることもでき、同乗者が幼児用座席に着座した幼児に目を配ることができ、また、同乗者の目線の高さと着座した幼児の目線の高さをほぼ同じ高さとすることができるため同乗者と幼児の双方に安心感を与えることができる。
[0045]
また請求項11の構成によれば、旋回位置で、シートが座席部保護構造体の開口部方向に移動するため、ステアリングや、ダッシュボード等に邪魔されることなく、座席の移動量を大きくすることができ、運転者の乗降性、および同乗者の後部座席乗降性を向上させることができる。
[0046]
また請求項12の構成によれば、車両の側面衝突の場合にバッテリー保護ケースが乗員保護構造体の外表面の接線に沿って滑るように移動するため、乗員保護構造体に対して、衝撃の応力を集中させることなく、面として接触し、乗員保護構造体が破損することが効果的に防止できる。また、正面衝突時または、追突時には、バッテリー保護ケースは、乗員保護構造体の外表面に沿って、車両の左右外側に押し出されるように移動し、バッテリー及び乗員保護構造体を損傷から保護することができる。
[0047]
また請求項13の構成によれば、車輪の内側領域及び乗員保護構造体の周囲のスペースを有効に利用することができ、また、バッテリー保護ケースが車両の前後方向軸、及び、左右方向軸に対して傾斜して配置されるため、バッテリーを保守のために取り外す場合でも、乗員保護構造体及び車輪を取り外すことなく車両の側方からバッテリーを取り外すことができる。また、バッテリーを左右に分散して配置するため、車両のロール方向の慣性力が大きくなり、トレッドが狭い車両であっても、横転に対する抵抗力を高くすることができる。
[0048]
また請求項14の構成によれば、エアバッグが乗員の頭部の前方に展開し、シートベルトと併用することにより、ステアリングハンドルにエアバッグを装着したものに比較して、乗員の頭部の移動量が少なく、乗員の頭部、頸部への損傷を最小限に抑えることができる。
尚、シートベルトとしては、衝突を感知した際に自動的にベルトを巻き取ることで乗員の拘束開始を早めるプリテンショナー装置付のシートベルトであれば、より効果的である。
[0049]
また請求項15の構成によれば、座席の側方において座席と乗員保護構造体の外殻の内側との間に乗員保護構造体の外殻の内側に近接した状態で乗員区画室の中心方向に向かって膨張するように構成されるため、エアバッグ展開用の大きなスペースを確保して、サイドエアバッグを確実に展開することができると共に、従来よりも大型のエアバッグを搭載することができる。また、乗員保護構造体の外殻の内側に近接した状態で膨張するため、膨張する際の反力を座席部保護構造体22の外殻の内側で確実に受け止め、乗員の側面方向への移動を確実に防止することができる。

図面の簡単な説明

[0050]
[図1] 小型車両全体の側面図
[図2] その平面図
[図3] 前部保護構造体の前移動を示す小型車両の斜視図
[図4] 座席部保護構造体の旋回を示す小型車両の斜視図
[図5] 前部保護構造体、座席部保護構造体、座席の動き示す小型車両の概略平面図
[図6] 前部保護構造体の支持部材を示す小型車両の概略平面図
[図7] 前部保護構造体の移動状態を示す6図におけるA-A矢視図
[図8] 車両の転倒状態を示す正面図
[図9] 座席部保護構造体の内部及び旋回軸を示す正面断面図
[図10] ステアリングハンドル位置を示す乗員保護構造体の概略平面断面図
[図11] 別の実施形態における座席の配置を示す車両の概略平面断面図
[図12] 別の実施形態における側断面図
[図13] 別の実施形態における乗員保護構造体が旋回位置の時の座席の動作を示す部分断面図
[図14] 別の実施形態における座席のスライド移動を示す部分断面図
[図15] 小型車両におけるバッテリー保護ケースの位置を示す側面図
[図16] 小型車両におけるバッテリー保護ケースの位置を示す平面図
[図17] 乗員保護構造体の傾斜壁面とバッテリー保護ケースを示す11図B-B断面図
[図18] 前部保護構造体と座席部保護構造体の結合ロック手段の作動を示す要部拡大図
[図19] 油圧式のステアリング機構を示す概略図
[図20] 機械式のステアリング機構を示す概略図
[図21] 頭部エアバッグを示す概略断面図
[図22] サイドエアバッグの作動を示す乗員保護構造体の正面断面図
[図23] サイドエアバッグの位置を示す乗員保護構造体(座席部保護構造体)の側断面図

発明を実施するための形態

[0051]
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、走行状態における車両に搭乗した運転者から見た方向を基準とする。
[0052]
図1及び図2に示すように、例えば、電気自動車である小型車両は、車台フレーム1の前方に前輪11及び後方に後輪12、後輪を駆動する駆動装置13、前輪を操向する操舵装置14を支持している。
車台フレーム1の中央には、車台フレーム1に対して独立して区画される乗員区画室2が配置され、乗員区画室2の外殻を形成する乗員保護構造体20の後半部を構成する座席部保護構造体22が、旋回軸24により旋回可能に車台フレーム1に支持されている。
[0053]
乗員保護構造体20は、前半部の前部保護構造体21と後半部の座席部保護構造体22で分割され、前部保護構造体21と座席部保護構造体22の分割面に乗員が乗降するための唯一の開口部20aが形成されている。
乗員区画室2内にはシート座面、シートバック、ヘッドレストからなる車両の幅方向に(横方向)に単一の座席3が座席部保護構造体22に支持されている。
座席3の側方及び上方は、乗員保護構造体20の後半部を成す座席部保護構造体22により囲まれ、側方からの衝突や、転倒した時に乗員を保護するようになっている。
[0054]
なお、座席部保護構造体22の開口部20aは前部保護構造体21により乗員の乗降時以外は閉鎖されている。
座席部保護構造体22の開口部20aは、必ずしも閉鎖されていなくてもよいが、本実施形態では前部保護構造体21により閉鎖されている。これにより衝突の時に乗員の前方への飛び出しを防止するとともに、乗員区画室2を生存空間として確保することができ、さらに風雨から乗員を保護することができる。
[0055]
なお、前部保護構造体21は、座席部保護構造体22にヒンジを介して解放、閉鎖可能に取り付けることもできるが、図6、図7に示すように車台フレーム1に支持部材231,232を介して取付られる。これにより座席部保護構造体22が旋回して乗員が乗降する時に車両の側方に閉鎖部材を開放するための空間を大きく確保する必要がなく、乗員の乗降性が向上する。
[0056]
なお、車台フレーム1及び駆動装置13、操舵装置14、懸架装置(図示なし)、制動装置(図示なし)などの構造は公知のものであるため、本発明に関連する構造以外の詳細な説明は省略するが、車台フレーム1の形式は、後述する衝突のエネルギーを変形により吸収するクラッシャブルな構造であれば、ラダー形式及びパネル形式、チューブラー形式等から任意な構造を採用できる。
[0057]
なお、駆動装置13は内燃機関であってもよく、左右の車輪を一つの駆動装置で駆動するものであってもよいが、本実施形態では、後輪12側にそれぞれ左右独立した電動モータからなる駆動装置13、13が配置される。これにより左右の車輪間の車体中央部を荷物室(図示せず)や、フレームの移動空間として有効に利用することができるとともに、マスを左右に分散させることにより車両の転倒抵抗力を高くしている。
また、前輪11側に駆動装置13を配置してもよく、前輪11側、後輪12側の両方に駆動装置13を配置してもよい。
[0058]
[フレームの移動動作]
図3、図4、図5は保護フレームの動作を模式的に表す図で、図3は前部保護構造体21と座席部保護構造体22が結合された状態を示す斜視図である。この状態は車両の走行、あるいは走行可能状態であり、また、駐車時における乗員の乗降動作の以外の状態である。
この結合位置において、乗員が乗降するためにまず、両フレームの結合ロックを解除し、図中矢印M1の前方に前部保護構造体21を座席部保護構造体22の旋回範囲外となるように移動する。前部保護構造体21の前方向の移動は乗員が手動でフレームを前方に押し出す動作により行われてもよいが、図7のアクチュエータ233により行われてもよい。
[0059]
図4は前部保護構造体21と座席部保護構造体22の結合が解除され相互の構造体が離間した状態を示し、この離間位置において、図中矢印M2方向に座席部保護構造体22が旋回し、乗員が車両の側方から乗降可能な位置まで移動する。
[0060]
なお、前部保護構造体21を車台フレーム1に対して固定し、座席部保護構造体22をその旋回軸24と共に後方に移動するようにしてもよいが、本実施形態では、前部保護構造体21を前方に移動するようにした。これにより座席部保護構造体22が乗員が乗車状態で荷重の重い状態でも重心に近い位置での旋回運動だけで済み、構造を単純化できるとともに、前後方向に構造体を移動させるための図7のアクチュエータ233の能力を低くすることができる。
なお、前部保護構造体21は、その上方に乗員の前方視界を確保するためのウインドシールド211を備える。
また、旋回の方向は各国の道路規制(右側通行か左側通行か)により任意に変更してもよい。
[0061]
図5は同じく乗員保護構造体20の動作を模式的に表す平面図で、図5Aは離間位置を示し、矢印M1の方向に前部保護構造体21が移動した後の(旋回原位置)状態を示す。図5Bは座席部保護構造体22がM2の方向に旋回している途中の状態を示し、図5Cは座席部保護構造体22が旋回後の状態(旋回位置)を示す。
図5Cの旋回位置において、座席3は乗員が足を置くためのフロア5と共に座席部保護構造体22の開口部の前側M3方向(車両の進行方向からみて左側)に移動し、側方に大きく張り出すことなく乗員が楽な姿勢で乗降可能な状態となる。
[0062]
なお、座席3及びフロア4の移動機構は公知の平行リンク(図示なし)または、スライドレール(図示ぜず)及び座席移動用アクチュエータ(図示せず)を有する。
また、結合位置から、旋回位置までの乗員保護構造体20の移動の一連の動作は乗員が着座した状態で操作できる位置の設けたボタン(図示せず)または、乗員が携行するリモコン(図示せず)の操作によりアクチュエータの補助のもと、順序だてて自動的に行われるのが好ましい。
[0063]
なお、結合位置から、旋回位置までの乗員保護構造体20の移動の一連の動作は手動により行うことが可能となっているが、アクチュエータにより自動的に行われる場合の動作条件は以下のとおりである。
[0064]
《結合位置から離間位置への移動条件》
・リモコン開ボタンまたは、車両開ボタン=オン
・結合ロック=解除
・車両速度=ゼロ
・走行モータ停止
・メインスイッチ=オフ
・パーキングブレーキ=オン
《離間位置、旋回原位置から旋回位置への移動条件》
・離間位置確認リミットスイッチ=オン
この時、必要に応じて、車両側方障害物距離センサ(図示なし)により車両側部の隣の車両などの障害物との距離を計測し、座席部保護構造体22の旋回範囲に障害物が存在する場合には、警報を発生させることもできる。特に後部座席32を有する大型の乗員区画室の場合は図14、図15のように旋回した時のオーバーハング量が大きいため、旋回範囲の側方距離センサは有効である。
また、旋回動作に伴い、ステアリングハンドル42をロックするステアリングハンドルロック手段(図示なし)によりステアリングハンドル42をロックすれば乗員が乗降する際のアシストグリップとしてハンドルグリップ43を利用することができる。
《旋回位置から旋回原位置(離間位置)への移動条件》
・リモコン開ボタンまたは、車両開ボタン=オン
・前部保護構造体21の離間位置確認リミットスイッチ=オン
この時、必要に応じて、座席部保護構造体22の旋回範囲に障害物の存在を検出する障害物センサ(図示なし)を設け、障害物が存在する場合は警報を発生させることもできる。
また、車両用パワーウインド、スライドドアで採用されている公知の挟み込み防止機能を設けることもできる。
また、座席3がスライド機構を有している場合には、座席3の位置が所定の範囲内であることを条件とする。
《離間位置(旋回原位置)から結合位置への移動条件》
・旋回原位置確認リミットスイッチ=オン
この時、必要に応じて、移動範囲に障害物の存在を検出する障害物センサを設け、障害物が存在する場合は警報を発生させることもできる。また、車両用パワーウインド、スライドドアで採用されている公知の挟み込み防止装置を設けることもできる。
《結合位置において結合ロックを作動させる条件》
・結合位置確認リミットスイッチ=オン
《車両発進条件》
・結合ロック状態=ロック
・着座センサ=オン
・シートベルト装着
・ステアリングハンドルロック解除
[0065]
また、乗員保護構造体20を成す座席部保護構造体22は図9に示すように車台フレーム1に対して、支持部材24、241、242を介して水平方向に旋回可能に支持されている。図9の例では、旋回軸24に係る荷重を分散して、旋回動作を円滑に行うため、レール241とローラ242が車台フレーム1と座席部保護構造体22との間に設けられる。
なお、ローラ242の方向がこの図9の例では垂直方向の荷重を受けるローラ242と水平方向の荷重を受けるローラ242が示されるが、座席部保護構造体22の荷重を受けて旋回動作を円滑に行うことができれば形式は問わない。また、支持部材であるレール241とローラ242だけで座席部保護構造体22の荷重を受けて旋回動作を行い、旋回軸24を廃止することもできる。
また、旋回の角度は、実施例では、90度に設定されているが、乗員の乗降が可能であれば、90度未満の旋回角度とすることもできる。
[0066]
なお、座席部保護構造体22を車台フレーム1に対して支持する支持部材24、241,242の衝撃強度は乗員区画室2を構成する乗員保護構造体20の衝撃強度より、低く設定されている。これにより、衝突時に車台フレーム1と支持部材24,241,242が衝撃エネルギーを吸収しつつ変形した場合でも、乗員区画室2に衝撃が伝達されるのを緩和することができる。
[0067]
図6、図7は、前部保護構造体21のリンク式移動構造を示すもので、前部保護構造体21は支持部材である前リンク231と後リンク232で移動可能に車台フレーム1に支持されている。前リンク231及び、後リンク232はそれぞれ、その中間部に屈曲部を有し、衝突時にエネルギーを吸収するように車台フレーム1が変形しても、その変形が乗員保護構造体20に影響しないように、屈曲部でリンク231、232が座屈されやすい形状をしている。また、屈曲部により前部保護構造体21が前方に移動した時に、屈曲部によりリンク231,232と前部保護構造体21とが干渉しないようになっている。
[0068]
前部保護構造体21の支持部材のリンク231、232は、弾性ブッシュ等の弾性部材(図示せず)を介して車台フレーム1及び、前部保護構造体21に連結されている。これにより、車台フレーム1の騒音、振動が乗員区画室2に伝達されるのを防止できるとともに、前部保護構造体21と座席部保護構造体22の結合の際にコンプライアンス作用により多少の位置ずれがあっても無理な力が作用せず、結合、結合解除の動作をスムーズに行うことができる。
[0069]
なお、前部保護構造体21を車台フレーム1に対して支持する支持部材であるリンク231、232の衝撃強度は乗員区画室2を構成する乗員保護構造体20の衝撃強度より、低く設定されている。これにより、衝突時に車台フレーム1と支持部材231,232が衝撃エネルギーを吸収しつつ変形した場合でも、乗員区画室2に衝撃が伝達されるのを緩和することができる。
[0070]
[フレームの形状・材料]
乗員区画室2は、乗員保護構造体20で囲まれた空間内に形成される。乗員保護構造体20は、座席部保護構造体22と前部保護構造体21からなり、全体的に卵型形状の応力外皮構造となっている。乗員保護構造体20は、乗員区画室2を通る1つの直線上で互いに垂直に交わる2つの平面でのそれぞれの断面が連続した曲線からなる略楕円状に形成される。従って、外部からの荷重を面に分散して受けることができ、応力が集中する部分的な屈曲点が存在しないので、薄い外殻により軽量化しても、必要な衝撃強度を確保することができる。また、外殻の材料は少なくとも一部に耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂を含む樹脂材料から形成されることにより軽量かつ強度に優れた乗員保護構造体20を実現することができるとともに、ポリカーボネート樹脂の特徴である光を透過する性質により、乗員区画室2の内部を明るくすることができる。
なお、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂材料としては、繊維材料で強化された樹脂材料を採用することもでき、特に乗員保護構造体20の開口部20aに繊維の配向方向を開口部の周方向とすることにより開口部20aの強度を効果的に上げることができる。
また、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂材料が、公知のポリエステル樹脂を混合した樹脂材料からなる採用することができ、成形性と寸法精度、外観特性を良好にすることができる。
なお、樹脂で成形される構造体はインジェクション成形により製造され、座席部保護構造体22は、上半部と下半部はアンダーカット部がないように分割して成形される。また、前部保護構造体21は、アンダーカットがないので透明材料で一体に成形して、必要な部分を着色してもよいが、ウインドシールド211の部分と、下半部を分割して成形すれば、材料、肉厚、強度を必要に応じて選択することができる。
[0071]
[サブフレーム]
図6、図7において、乗員保護構造体20はサブフレーム212、213、222、223、224を有する。
乗員区画室2の後半体を形成する座席部保護構造体22は後水平サブフレーム222と、座席3の前方の開口部20aを補強する縦サブフレーム223と、前端を縦サブフレーム223に接続し後端を後水平サブフレーム222に接続する下サブフレーム224を有する。
後水平サブフレーム222は平面視で略円弧状で、座席の後方から左右両側方を囲み前方に開放する左右の端部は、縦サブフレーム223の上下方向中間部に接続され、後方で下サブフレーム224と接続される。
縦サブフレーム223は座席部保護構造体22の前方の開口部20aを補強するように円環状に形成され、上下方向の中間部で後水平サブフレーム222に接続され、下端部は下サブフレーム224に接続される。また、座席部保護構造体22と前部保護構造体21を結合するための結合ロック手段25、ロックアクチュエータ253、座席部保護構造体22の開口部20aとの結合部の位置を規制する位置決め手段26、結合位置案内手段(図示せず)が円環状の縦サブフレーム223の複数箇所に配置される(図18参照 但し、配置位置は図示せず)。
縦サブフレーム223の後方と後水平サブフレーム222の上方との間の外殻は乗員の側方、後方視界を確保するためたとえば透明なポリカーボネート樹脂で形成される。
下サブフレーム224は、先端が縦サブフレーム223に接続され、後端が後水平サブフレーム222に接続され、中間部で座席部保護構造体22の旋回軸(軸受)24、座席3、ステアリングポスト41などの比較的支持荷重を必要とする設備が支持される。
[0072]
前部保護構造体21は前水平サブフレーム212と縦サブフレーム213を有する。
前水平サブフレーム212は平面視で後方に開放する円弧状で、前水平サブフレーム212の前部が前側にリンク231に、左右の後端がリンク232に支持される。また、左右の後端部は、後水平サブフレーム222の前端と連続するような高さに配置される。
縦サブフレーム213は、上下方向の中間部に前水平サブフレーム212が接続され、前水平サブフレーム212の上方と縦サブフレーム213の前方に半扁平ドーム状の透明なウインドシールド211を備える。
また、前部保護構造体21の縦サブフレーム213は、座席部保護構造体22の前方の開口部20aに位置する縦サブフレーム223と結合するため、縦サブフレーム223の結合ロック手段25のフック252、位置決め手段26のテーパ穴262に対応してストライカ251、テーパーピン261、被案内手段(図示せず)が周方向の複数個所に取り付けられる。(図18参照)
[0073]
なお、各々のサブフレームの材料は金属材料もしくは、樹脂材料を必要に応じて部分的に肉厚あるいは繊維強化することにより製造される。また、サブフレームと外殻を形成する樹脂材料とは、ボルトなどの機械的手段により接合されてもよいが、金属フレームを樹脂成型時にインサートして成形してもよい。
また、座席部保護構造体22の下半体は旋回軸24、座席3、ステアリングハンドル42、フロア5等を支えるため強度を必要とするが、下サブフレーム224は必要に応じて、クロスバー(図示せず)により連結した左右に平行な2本のパイプ(図示せず)により構成することもでき、樹脂材料の肉厚を必要に応じて部分的に厚くしたり、あるいは繊維強化することにより必要な強度を確保するようにしてもよい。
[0074]
図8は、車両が横転した状態を示す正面図で、前輪11と座席部保護構造体22の後水平サブフレーム222の最も外側部分で地面と接触していることがわかる。 応力外皮構造は局部的に強い力を受けるとその部分が変形・破壊されやすいが転倒時に地面と接触する部分が後水平サブフレーム222により保護され、地面から受ける応力を分散することにより、転倒時の乗員保護構造体20の破壊を防ぐことができる。
[0075]
[ステアリングハンドル]
図9、図10は座席部保護構造体22に設けたステアリングハンドル42の配置を示すもので、図9に示されるようにステアリングハンドル42は、フロア5の下の座席部保護構造体22の左右方向中央に取り付けられたステアリングポスト41の略垂直方向の軸を中心に回動可能に支持され、ステアリングポスト41から左右両側方方向に指向した後、座席部保護構造体22の左右の内壁と内装カバー225との間を円弧状の内壁に沿って上方に延長され、内装カバー225に設けられたスリット状の開口から内側に延び、上端部にハンドルグリップ43が設けられる。
ハンドルグリップ43は図10に示されるよう乗員保護構造体20の開口部20aの左右に離れて配置される。
このため、ステアリングハンドル42が座席部保護構造体22の旋回動作の障害とならない。また、座席3の前方は旋回位置では開放されているためステアリングハンドル42が乗員の乗降の妨げとならないとともに、乗員が乗降のために座席3を前後に移動する時にも障害とならない。また、運転時には、乗員がひじを曲げた状態で握ることができ、楽な姿勢で操舵できる。また、先端がループ状に形成されるため、バーハンドルのように突出する先端がないため安全で握りやすく、乗降時にはアシストグリップとしても機能する。
なお、運転者の体格に合致するようにステアリングハンドル42は公知の方法により、角度、上下方向位置、内側への突出量を調整することができる。
また、内装カバー225のスリット状の開口にはステアリングハンドル42の動きに追随して移動するスライドカバー(図示せず)が設けられる。
なお、加速指示装置(図示せず)、減速指示装置(図示せず)はハンドルグリップ43近傍の任意な位置に設けられるが、減速指示装置は、フロア5にブレーキペダル(図示せず)として設けてもよい。
また、ブレーキペダルがパーキングロックを備え、パーキングロックされた状態で、前部保護構造体に移動を許可・可能とするインターロック手段を更に設けてもよい。
[0076]
図19、図20はステアリングハンドル42から前輪11の操舵装置14への操舵力伝達手段44を示すもので、図19図は油圧により操舵力が伝達される実施の形態で、図20はボーデンワイヤを用いた機械式の実施の形態である。
油圧式の場合はステアリングハンドル42に連結された油圧ピストン451により油圧を発生させ、油圧ホース442を経由して前輪の操舵装置14の油圧アクチュエータ452まで操舵力が伝達される。前輪の操舵装置14は公知の構造で左右がリレーロッドで連結されている。
機械式の場合は、ステアリングハンドル42に連結されたボーデンワイヤ441により操舵力が前輪11の操舵装置14まで伝達される。
なお、操舵力伝達手段44は、旋回軸24の中心近傍を通過するように配索されるため、旋回動作により油圧ホース442、またはボーデンワイヤ441が捩れたり、引っ張られることはない。
また、操舵力伝達手段44は左右の系統が独立して操舵装置14まで伝達されるため、例えばどちらか一方の伝達系統に不具合が生じても、操舵操作を継続することができる。
なお、操舵力伝達手段44はバイワイヤ(電気式)であってもよく、油圧式、機械式、電気式の手段の内、複数の手段の組合わせであってもよい。
[0077]
[座席]
旋回位置における乗員が乗降するための座席の移動について、図11から図14に示される後部座席を有する実施形態を例に説明する。図11、図12に示される小型車両は横方向に単一の運転者用の座席3と、運転者用の座席3の後方に車両の進行方向に向かって前方斜め右方向を向き、平面視で車両の中心に対して左側にオフセットして配置される同乗者用の後部座席32と、その同乗者用の後部座席32の対面側に着脱可能な幼児用座席33を備える。同乗者用の後部座席32は、斜めに配置されるため、乗員区画室の前後方向の長さを短くできると共に、同乗者の肩の側方のスペースを確保し、目線の前方に突出物のない空間を確保することにより、狭いスペースでも圧迫感の少ない後部座席空間を作ることができる。また、同乗者の膝周りの空間にも余裕があり、楽な姿勢で着座できる効果もある。
また、幼児用座席33を斜めに配置した同乗者用の後部座席32の前方に着脱可能に設けたため、同乗者が幼児用座席33に着座した幼児に目を配ることができ、また、同乗者の目線の高さと着座した幼児の目線の高さをほぼ同じ高さとすることができるため同乗者と幼児の双方に安心感を与えることができる。
なお、本実施形態のその他の構成は1人乗り用の小型車両の実施形態と同様である。
[0078]
図13、図14は旋回位置における座席3の移動を示すもので、座席3は、フロア5と共に座席部保護構造体22に支持される。
座席3はシート座面の後方のヒンジによりシートバックを前方に折りたたむことができ、シートバックが折りたたまれた状態で座席3をスライドレール351上を座席部保護構造体22の開口部20aの方向にスライド移動することにより、開口部20aに乗員が通過できる空間が生まれ、乗員は後部座席32へ乗降することができる。なお、この実施の形態ではスライドレール351により座席をスライド移動する構成を示したが、例えば、座席支持部材35の前方にヒンジ(図示せず)を設け座席が回動するように構成してもよく、座席支持部材35がリンク(図示せず)により平行移動するものであってもよい。
また、本実施形態においては、後部座席32に乗員が乗降することを例としたが、運転者の乗降のために座席を前後に移動するものであってもよく、座席3がアクチュエータ(図示せず)にて駆動されるようにしてもよい。
以上の構成により、旋回位置において、シートが座席部保護構造体の開口部方向に移動し、従来の小型車両のように前方にハンドルステアリングやダッシュボードなどの障害物がないため、座席を大きく移動することができ、座席3の後方への乗降性を向上させることができる。
[0079]
[バッテリー]
次にバッテリーの配置と衝突時の保護について図15、図16、図17に基づいて説明する。
図15、図16に示される実施の形態では、乗員保護構造体20の前方側に配置されるバッテリー保護ケース15は車台フレーム1にバッテリー支持部材151を介して前輪11の内側後方と乗員保護構造体20との間に配置される。
乗員保護構造体20の前側部分を構成する前部保護構造体21は、座席部保護構造体22に対して、結合位置と、離間位置との間で前後方向に移動可能に車台フレーム1に対して支持され、前部保護構造体21を結合位置と離間位置との間で移動することを許容する構造体移動空間部分201が前輪11の内側の車台フレーム1の上方に設けられている。
この構造体移動空間部分201は、車両の正面衝突時または、後方追突時に車台フレーム1が変形して衝突時の衝撃エネルギーを吸収し得るクラッシャブルゾーン101と共有している。
また、バッテリー保護ケース15のバッテリー支持部材151はブラケットとボルト等の締結部材からなり、衝突時にバッテリー保護ケース15が受ける衝撃を緩和するためにバッテリー支持部材151が変形、破断してバッテリー保護ケース15が移動するように衝撃強度が設定されている。
バッテリー支持部材151の衝撃強度の調整は、公知の方法によるが、例えばブラケットに脆弱部を形成することによりなされる。
なお、バッテリー保護ケース15は衝突時の衝撃により破壊されないようにバッテリー支持部材151の強度以上の耐衝撃強度が確保されている。
[0080]
以上のように構成されているため、例えば車両の右側側面から衝突された場合、車両前右側のバッテリー保護ケース15は衝突の衝撃を受け中心側に移動する(図16矢印方向)。このバッテリー保護ケース15の移動空間部分201は、通常は前部保護構造体21が移動する構造体移動空間部分201として確保されている空間であり、空間を有効に利用できるとともに、バッテリー保護ケース15が他の構造部材との間に挟まれて損傷を受けることを防ぐことができる。
また、高電圧のバッテリーが乗員区画室2の外に配置されるため、バッテリー保護ケース15が想定以上の衝撃を受けて破損したとしても乗員の安全を確保することができる。
なお、図16の斜線部分101は正面衝突時のクラッシャブルゾーンであり、このクラッシャブルゾーン101もまた、前部保護構造体21の移動空間部分201と共有されている。
[0081]
また、乗員保護構造体20の後方側に配置されるバッテリー保護ケース15は、車台フレーム1にバッテリー支持部材151を介して後輪側方前方と乗員保護構造体20の間に左右対称に複数分散して車両の前後方向中心線に対して長手方向の軸が斜めに配置される。
バッテリー保護ケース15が平面視で乗員保護構造体20とオーバーラップして斜めに配置され、側面視において後輪12の外輪郭及び、乗員保護構造体20の後半体である座席部保護構造体22とオーバーラップして配置されることにより、乗員保護構造体20の下方、側方及び、後輪12の内側のスペースを有効に活用できる。
また、斜めに配置されることにより、バッテリーメンテナンスのためにバッテリー保護ケース15を脱着する場合でも、後輪12を外すことなく、車両の側方から斜め前方に向けてバッテリー保護ケース15を取り外すことができる。
さらに、バッテリー保護ケース15を左右に分散して配置するため、車両のロール方向の慣性力が大きくなり、トレッドが狭い車両であっても、横転に対する抵抗力を高くすることができる。
[0082]
図17は図16におけるB-B断面の要部を示すもので、乗員保護構造体20の下方部分は半球状カップ形状を成し、乗員保護構造体の下方外側部分に車両中心から遠ざかる方向に上り傾斜するような傾斜面202が形成されている。
バッテリー保護ケース15は内部に複数のバッテリー(セル)150を積層して収納し、バッテリー150を外部からの衝撃から保護するように必要に応じてバッテリー保護ケース15の内壁面とバッテリー150との間に空間または、緩衝材(図示せず)を備える。
また、駆動装置13に必要な電力を供給するためのハーネス(図示せず)、とハーネスを接続するためのコネクタ(図示せず)を備え、車台フレーム1の適宜箇所に配置された制御装置(図示せず)を介して駆動装置13を駆動する。
バッテリー保護ケース15は金属、または、樹脂材料で形成され、車両が衝突の際にバッテリー保護ケース15の内部のバッテリー150が損傷しないような強度を持ち、バッテリー保護ケース15の強度がバッテリー支持部材151の強度より大きな強度となるように衝撃強度が設定される。バッテリー保護ケース15のバッテリー支持部材151は、衝突時の荷重により変形量を調整されるような脆弱部が形成されている。なお、バッテリー支持部材151の衝撃強度を調整する方法は、脆弱部を設ける方法の他に破断ボルト等公知の方法であってもよい。
バッテリー保護ケース15には、図17に示されるようにその外壁に乗員保護構造体20の外壁の傾斜に沿うように傾斜面152が形成される。
[0083]
以上の構成により、車両の側面衝突の場合にバッテリー保護ケース15が乗員保護構造体20の傾斜面202の接線に沿って滑るように移動するため、乗員保護構造体20に対して、衝撃の応力を集中させることなく、面として接触し、乗員保護構造体20が破損することが効果的に防止できる。また、正面衝突時または、追突時には、バッテリー保護ケース15は、乗員保護構造体20の外表面に沿って、車両の左右外側に押し出されるように移動し、バッテリー150及び乗員保護構造体20を損傷から保護することができる。
[0084]
[頭部保護エアバッグ]
次に乗員の頭部保護用エアバッグについて、図21をもとに説明する。
図22は、乗員の頭部保護のためのエアバッグの作動を示すもので、図22a、bはエアバッグ6が折りたたまれて収納されている状態を示し、図22c、dは衝突時にエアバッグ6が展開した状態を示す。エアバッグ6を収納するエアバッグ収納体62は、乗員保護構造体20の後半部の座席部保護構造体22の内壁に沿って、車両の幅方向に単一の運転者用の座席3に着座した乗員の頭部8の左右と上方を囲むように逆U字状に形成され、内部にエアバッグ6が折りたたまれて収納されている。
加速度センサ(図示せず)、または、傾斜センサ(図示せず)が車両の衝突または転倒を検出すると、シートベルト7の自動巻き取り装置が作動し、乗員を座席3に固定する。それとほぼ同時にインフレーター(図示せず)が作動し、座席部保護構造体の内側に固定された状態を維持したまま乗員の頭部8の前方に向けてエアバッグ6が頭部の前方及び側方を覆うように半扁平ドーム状に展開し、頭部8が前方に移動するのを抑止する。
なお、エアバッグ6は展開された状態において、エアバッグの上端部及び左右両側の側方端部が乗員保護構造体20の後半部の座席部保護構造体22に支持されているため、エアバッグ6の膨張力により頭部8の移動を抑制しているのではなく、エアバッグ6の張力により頭部8が前方へ移動するのを防止している。このため、必要以上にエアバッグ6を膨張させる必要はなく、瞬時に展開させるための圧力は必要とするが膨張させるための圧力は必要としない。従って、展開、収縮の圧力は適宜調整されることが望ましい。また、衝突時における乗員の姿勢、特に頭部8の位置を検出するセンサ(図示せず)を設け、エアバッグ6の展開位置より前に乗員の頭部8が存在しないこと、シートベルト7が装着されていることを条件として頭部保護用のエアバッグ6を作動させるようにしてもよい。
以上の構成により衝突、転倒時にエアバッグ6が乗員の頭部8の前方に展開し、シートベルト7と併用することにより、ステアリングハンドルにエアバッグを装着したものに比較して、乗員の頭部8の移動量が少なくすることができ、乗員の頭部、頸部への損傷を最小限に抑えることができる。
[0085]
[サイドエアバッグ]
図22、図23に示されるサイドエアバッグ63は座席の側方に位置する座席部保護構造体22の外側に膨出するように円弧状に形成された外殻の内側と内装カバー225との間に、外殻の内側に近接した状態で未膨張時は折りたたまれて収納されている。(図22の左側参照) また、図22の左側は膨張した時のエアバッグの状態を示すもので、乗員の頭部の側方から、膝の側方にかけて座席部保護構造体22の外殻の内側から外殻の内側に近接した状態で前記乗員区画室の中心方向に向かって膨張し、展開されている。加速度センサ(図示せず)、または傾斜センサ(図示せず)が側突または、横転を検出すると、インフレーター(図示せず)が作動しサイドエアバッグ63を膨張させる。
座席部保護構造体22は、断面がほぼ楕円形状をしているためサイドエアバッグ63が収納、展開される側部の上下方向中間部分は円弧状に外方に向けて膨出している。このため、座席3と座席部保護構造体22の外殻の内側との間にエアバッグ展開用のスペースを確保して、サイドエアバッグ63を確実に展開することができると共に、従来よりも大型のサイドエアバッグ63を搭載することができる。
なお、本実施形態の例では座席3を支持する座席支持部材35には、脆弱部が形成されているため、側方からの衝撃の一部がこの脆弱部の変形により吸収することができる。

符号の説明

[0086]
1・・・車台フレーム
101・・・クラッシャブルゾーン
11・・・前輪
12・・・後輪
13・・・駆動装置
14・・・操舵装置
15・・・バッテリー保護ケース
150・・・バッテリー(セル)
151・・・バッテリー支持部材
152・・・斜面部
2・・・乗員区画室
20・・・乗員保護構造体
20a・・・開口部
201・・・構造体移動空間部分
202・・・斜面部
21・・・前部保護構造体
211・・・ウインドシールド
212・・・前水平サブフレーム
213・・・縦サブフレーム
22・・・座席部保護構造体
222・・・後水平サブフレーム
223・・・縦サブフレーム
224・・・下サブフレーム
225・・・内装カバー
231・・・前リンク(支持部材)
232・・・後リンク(支持部材)
233・・・アクチュエータ
24・・・旋回軸(支持部材)
241・・・ガイドレール(支持部材)
242・・・ローラ(支持部材)
25・・・結合ロック手段
251・・・ストライカ
252・・・フック
253・・・アクチュエータ
26・・・位置決め手段
261・・・テーパーピン
262・・・テーパー穴
3・・・座席
32・・・後部座席
33・・・幼児用座席
35・・・座席支持部材
351・・・スライドレール
43・・・ハンドルグリップ
41・・・ステアリングポスト
42・・・ステアリングハンドル
44・・・操舵力伝達手段
441・・・ボーデンワイヤ
442・・・油圧配管
451・・・油圧ピストンポンプ
452・・・油圧アクチュエータ
5・・・フロア
6・・・エアバッグ
62・・・エアバッグ収納体
63・・・サイドエアバッグ
7・・・シートベルト
8・・・乗員頭部

請求の範囲

[請求項1]
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体と前部保護構造体から形成され、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記前部保護構造体が
 前記座席部保護構造体に結合して前記座席部保護構造体の前記開口部を閉鎖可能とし、
前記座席部保護構造体とは独立して前記車台フレーム上に支持されることを特徴とする小型車両。
[請求項2]
 前記座席部保護構造体の開口部が車両進行方向に向かって正面を向いた位置を旋回原位置とし、
 前記座席部保護構造体の開口部が車両進行方向に向かって左右いずれかの方向に向いた位置を旋回位置とし、
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体とが相互に結合された位置を結合位置とし、
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体とが相互に離間された位置を離間位置とし、
 前記座席部保護構造体を旋回原位置と旋回位置との間で旋回可能なように、前記前部保護構造体が前記座席部保護構造体の旋回範囲外となるように、前記前部保護構造体または前記座席部保護構造体を前記結合位置と前記離間位置との間で移動することを特徴とする請求項1に記載の小型車両。
[請求項3]
 前記前部保護構造体または前記座席部保護構造体が前記結合位置と前記離間位置との間で移動することを許容する構造体移動空間部分を前記前輪の側方または前記後輪の側方の前記車台フレームの上方に設け、
 前記構造体移動空間部分が、車両の正面衝突時または、後方追突時に前記車台フレームが変形して衝突時の衝撃エネルギーを吸収し得るクラッシャブルゾーンと共有していることを特徴とする請求項2に記載の小型車両。
[請求項4]
 前記前部保護構造体または前記座席部保護構造体が前記結合位置と前記離間位置との間で移動することを許容する構造体移動空間部分を前記前輪または前記後輪の側方の前記車台フレームの上方に設け、
 前記駆動装置に電力を供給するバッテリーを収納するバッテリー保護ケースが、前記前輪の後方と前記乗員保護構造体との間、または、前記後輪の前方と前記乗員保護構造体との間にバッテリー支持部材を介して前記車台フレームに支持され、
 前記バッテリー支持部材の衝撃強度が前記バッテリー保護ケースの衝撃強度より低く設定され、
 車両の側面からの衝突時に前記バッテリー保護ケースが前記バッテリー支持部材の変形破断により、前記構造体移動空間部分に移動可能としたことを特徴とする請求項2または3に記載の小型車両。
[請求項5]
 前記前部保護構造体が支持部材を介して前記座席部保護構造体とは独立して前記車台フレーム上に支持され
 前記前部保護構造体の支持部材の中間部に屈曲部が形成され、
 前記前部保護構造体の支持部材の衝撃強度が前記乗員保護構造体の衝撃強度より低く設定されていることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の小型車両。
[請求項6]
 前記座席部保護構造体が、上下方向の中間部に、前記座席の後方から左右両側方を囲み前方に開放した略円弧状の後水平サブフレームを備え、
 前記前部保護構造体が、上下方向の中間部に、後方に開放した略円弧状の前水平サブフレームを備え、
 前記後水平サブフレームと前記前水平サブフレームにより円環状の水平サブフレーム体を形成することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の小型車両。
[請求項7]
 前記座席部保護構造体の開口部が円環状の縦サブフレームにより補強されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の小型車両。
[請求項8]
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体の開口部との結合及び結合解除が可能な結合ロック手段と、
 前記前部保護構造体と前記座席部保護構造体の開口部との結合部の位置を規制する位置決め手段とを有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに1項記載の小型車両。
[請求項9]
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が、ステアリングハンドルを備え、
前記ステアリングハンドルは、下端部が、前記座席の下方で前記座席部保護構造体の左右方向中央に取り付けられたステアリングポストの略垂直方向の軸を中心に回動可能に支持され、
 前記ステアリングポストから左右両側方方向に指向した後、前記座席の外側方と前記座席部保護構造体の左右の内壁との間を内壁に沿って上方に延長されて配置されると共に、
上端部にハンドルグリップが設けられていることを特徴とする小型車両。
[請求項10]
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が、前記座席の後方に後部座席を備え、
 前記後部座席は、平面視で車両の中心に対して左右一側にオフセットして配置され、
 前記後部座席の正面が他側前方斜め方向に指向することを特徴とする小型車両。
[請求項11]
 前記後部座席の前方に位置する前記座席が前記座席部保護構造体の開口部の方向に移動可能に支持されることを特徴とする請求項10に記載の小型車両。
[請求項12]
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記乗員保護構造体の下方外側に、中心から半径方向外側上がりに傾斜する傾斜面が形成され、
 前記駆動装置に電力を供給するバッテリーを収納するバッテリー保護ケースが、前記前輪の内側後方と前記乗員保護構造体との間、または、前記後輪の内側前方と前記乗員保護構造体との間に位置し、前記バッテリー保護ケースの衝撃強度より低く設定された衝撃強度を有するバッテリー支持部材を介して車両の前後方向中心線に対して左右対称に前記車台フレームに支持され、
 前記バッテリー保護ケースの前記車両の中心側の面に、前記乗員保護構造体の下方外側部分の傾斜面に対応する傾斜面を形成され、
 車両の衝突時に前記バッテリー保護ケースが前記バッテリー支持部材の変形破断により、前記乗員保護構造体の下方外側の傾斜面に沿って移動可能としたことを特徴とする小型車両。
[請求項13]
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記駆動装置に電力を供給するバッテリーを収納するバッテリー保護ケースが、
 前記前輪の内側後方と前記乗員保護構造体との間、または、前記後輪の内側前方と前記乗員保護構造体との間に左右対称に複数分散して前記車台フレームに支持され、
 平面視で前記乗員保護構造体と前記バッテリー保護ケースの少なくとも一部、または、
 側面視で前記前輪または前記後輪の外輪郭と前記バッテリー保護ケースの少なくとも一部、または、
 側面視で前記乗員保護構造体と前記バッテリー保護ケースの少なくとも一部がオーバーラップして配置されることを特徴とする小型車両。
[請求項14]
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が衝突、転倒時に展開する頭部保護エアバッグを備え、
 前記頭部保護エアバッグは、前記車両の幅方向に単一の運転者用の座席に着座した乗員の頭部の上方及び側方に位置する前記座席部保護構造体の内側に固定され、
 未展開時は、前記座席部保護構造体の内側に近接した状態で座席部保護構造体の内壁に沿って折り畳まれてエアバッグ収納体に収納され、
 展開時は、エアバッグの上端部及び左右両側の側方端部が前記座席部保護構造体の内側に固定された状態を維持したまま乗員の頭部の前方及び側方を覆うように半扁平ドーム状に展開することを特徴とする小型車両。
[請求項15]
 前輪と、後輪と、前記前輪または前記後輪を駆動する駆動装置と、前記前輪または前記後輪を操向する操舵装置とを支持する車台フレームと、
 前記車台フレームの略中央に配置される乗員区画室と、
 前記乗員区画室内に配置される車両の幅方向に単一の乗員用の座席とを有し、
 前記乗員区画室の外殻と、サブフレームから乗員保護構造体を形成する小型車両であって、
 前記乗員保護構造体は、座席部保護構造体を有し、
 前記座席部保護構造体が、
 前記座席の側方及び上方を囲み、
 前記座席の前方に乗員が乗降可能な唯一の開口部を有し、
 前記座席と共に水平方向に旋回可能に前記車台フレーム上に支持され、
 前記座席部保護構造体が、衝突、転倒時に展開するサイドエアバッグを備え、
 前記サイドエアバッグは、前記座席の側方に位置し、未展開時は、外側に膨出するように円弧状に形成された前記座席部保護構造体の外殻の内側に近接した状態で、該外殻の内側と内装カバーとの間に折り畳まれて収納され、
 展開時は、前記座席部保護構造体の外殻の内側から該外殻の内側に近接した状態で前記乗員区画室の中心方向に向かって膨張することを特徴とする小型車両。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]